ゲーム開始

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黒き体に重なる白き刃。 同時に重い手応えが両手にかかる。 駆け抜ける烈風。 溢れ出る熱波。 勢いでこちらが飛ばされてしまいそうだ。 飛び散る金属片。 そのまま一気に振りおろした。 床に激突する剣の鋒。 舞い上がる砂埃。 残ったのは真っ二つに分断された黒い体。 数秒、手足が百足のように動いていたが、それも制止した。 一刀両断。 まさか俺が、こいつを倒したのか? 自分の成したことが受け入れられない。 浮ついた気分。 だが、達成感が胸に満ちていた。 「やった…」 力なくその場にへたり込む。 俺にだってできるのだ。 無力では無かった。それが分かっただけで満足だ。 「やったな、カグラ。」 ふらつきながらも立ち上がる松原。 外見にはそれほど傷はない。 恐らく、能力が上手く効いたのだろう。 最後の助けがなければ、間違いなく死んでいた。 まだ松原に頼るのは続きそうだ。 「松原、ありがと…、 くっ。」 頭を貫く激痛。 そうか、これが代償。 脳を酷使するこの能力。 頭への負担が大きいらしい。 「大丈夫か、カグラ!!」 駆け寄る松原。 不甲斐ないな、松原もあの打撃が効いているだろうに。 「あぁ、何とかな。 こんなところで油を売っている暇はない。 早くみんなの元へ急ごう。」
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