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松原の提案に乗らない手はなかった。
もしかすると、皆んなは教室で待ちくたびれているかもしれない。
きっと、俺たちがどこに行ったのかと心配されてるに違いない。
そんな強い期待が胸の中にあった。
「いい考えだな。行こう。」
「あぁ、ただ、周りには気をつけ無いとな。死角から奴らに奇襲されたらたまったもんじゃ無い。
俺が前を歩くよ。後ろからついて来てくれ。」
松原の提言。
それを了承し、その後ろを追うように続く。
東校舎に入り、眼に映るのは奥まで伸びる長い長い廊下。
一番奥の突き当たりがとても小さく見える。
「ここからは一本道だ。もし挟まれた時は俺が強行突破で道を開けるよ。」
松原の言葉に静かに相槌を打つ。
あいつの事だ、いう通りにしていれば何も心配はないだろう。
時折、後ろを向きながら廊下を注意深く進んでいく。
深々と続く静寂。
時たま足元でパキッ、と廊下が鳴るたびに、背筋に電撃が走る。
普段は何も気にせず通っている廊下。
それが今日ほど怖い日があるか。
いつ奴らが襲ってくるのか分からないのだ。
この感覚はホラーゲームをやっている緊張に近いかもしれない。
両者に共通するのは一つのミスで命を落とすという事。
もっとも、こちらのゲームは現実に自分が死ぬ訳だが。
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