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「確かあの能力は、『矛盾』…
最強の盾と槍を召喚する力…」
斬り合いは不可と判断し、間一髪で、槍を躱す。
耳元を撫でる風切り音。
あわや、あれと斬り合っていれば、自分の身体は肉塊と化していただろう。
しかし、危機を乗り切ったかに思えた少年の身に、さらに追い討ちが迫る。
砂埃の中から、急に現る少女の姿。
最初の一撃は、陽動。
少年少女達は、仲間の利を活かし、複雑な協力攻撃で彼を追い詰めるつもりらしい。
懐から拳銃を取り出し、彼の眼前に突き出す少女。
撃鉄を弾く音が、砂塵の中空で鳴り響く。
微かに匂う、火薬の残骸。
至近距離の連続砲弾。
「普通」ならば、生きてはいまい。
たが、彼らは常識を凌駕していた。
微笑を浮かべる白髪の少年。
眉間の前に出された手の指指の間には、一発ずつ弾丸が挟まれている。
攻撃を防がれたのなら、待っているのは反撃である。
少年は少女に手加減なく本気の蹴りをお見舞いした。
肉と骨がぶつかり合う感覚。
手応えあり…
そう思った刹那、彼の口から、紅い汁が吹き出す。
遅れて訪れる鈍い痛み。
彼女は、攻撃を仕掛ける前に既に、能力を起動していたようだ。
「くそっ、お前…
ダメージを俺に!」
墜落する彼の体。
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