第1章

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 いつも通りの買い物をして、夕食を作る。味噌汁と生姜焼き。本当にため息がでてしまいそうなくらい、普通の日々。だけど、今日は少しドキドキとしている。私が習い事をすると言ったら、家族はどんな顔をするだろう。(いつまで続くかなとか、嫌みを言われるかしら。)と、不安になりながらも、楽しみな気持ちの方が大きい。  湯がいたほうれん草を刻みながら、鼻歌を歌う。 レットイットビーだったっかな?とか思いながら、適当な歌詞で。  「あれ、なんかご機嫌だね。」  いつの間にか、帰ってきた娘が私に話しかける。思わず赤面して、ごほごほとむせてしまった。  「お帰り、今日は生姜焼きだよ。」  「うん」  なんということの無い会話。  「ね、お母さんが習い事始めたらどう思う?」  「いいんじゃない、別に」  娘のあっさりした回答に、肩の力が抜ける。  「あ、でもさ、フラダンスとか社交ダンスとか、表にでるようなやつはやめてね。恥ずかしいから。」  
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