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女性向けの服屋である。既製品が並べられているが、どれも新品に見える。中央の国の古着を扱う庶民向けの服屋とは異なり、西の国では庶民向けであっても仕立てたばかりの新しい品を扱う店があるのだ。
店内には膝上丈のスカートや襟なしのシャツなど、中央の国では首都くらいでしか売られていない服が当たり前のように並べられている。
「これ可愛い!」
服を見ていたユリアスが服掛けごと手にしたのは白いワンピースだった。中央の国では角のある形をした襟が主流であるが、彼女の手にしているワンピースの襟は丸い。
胸元までボタンが並んでおり、腰の辺りの高さにベルトループがあり、そこに緩くレースのリボンが通されていた。おそらくこれで腰の辺りを絞めて結ぶのだろう。肩幅が問題なければ、体型を気にせず買える服である。
「こっちも可愛い」
ユリアスがもう一着服を引っ張り出した。裾に刺繍の施された襟なしの淡い黄色のワンピースである。腰に細い紐が通されており、これを縛って調節するのだろう。
「うーん、どっちか買おうかな……」
どちらも彼女に似合いそうだった。リューティスは服に詳しくないが、似合うか否かくらいはわかる。
服掛けに書かれている値段を見て悩む彼女に、リューティスは店員を呼んだ。
「これください」
「はいよ、銀板貨四枚と銀貨二枚ね」
「え、ちょっ……」
慌てる彼女を横目に、革袋から銀板貨四枚と銀貨二枚を数えて店員に渡した。店員はそれを受けとるとそそくさと店の奥に消えていく。
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