一章 辺境の街

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   依頼の一つを手にし、受付の列に並ぶ。手際よくさばかれていく人の列。リューティスまで順番が回ってくるのにそう時間はかからなかった。  依頼書を差し出し、ギルドカードを手渡す。ギルドカードに目を落とし目を見開いた受付嬢に被ったままであったフードを外そうとすると、その寸前に一枚の紙を手渡された。 「フードを取らずにそのままこちらへ。この依頼を受けていただきたいのです」  手渡された紙は、一枚の依頼書であった。内容に目を通し、焦りの混じった受付嬢に迷うことなく頷く。そしてリューティスは背後からの視線を痛いほど感じながら、受付の奥へと足を踏み入れたのだった。 『依頼内容:誘拐および人身売買組織の討伐と被害者の奪還 依頼ランク:A 依頼制限:Aランク(Aランク二人以上相当)、幼く見える者もしくは若い女性、華奢な体格の者、まだ実力の周知されていない者 依頼主:リリート地方領主 依頼期限: 報酬:銀貨五枚 備考:囮潜入を行える者を求む。被害者は二十二人。囮として拐われ、被害者の安全確保及び奪還の助力を望む』 .
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