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受付嬢に通された奥の部屋で、フードを取るようにと促された。リューティスの素顔を見て受付嬢が満足げに頷く。
「よし、依頼制限通り」
呟きと同時に拳を握りしめた受付嬢は、リューティスが首をかしげると恥ずかしそうに笑ってソファーに座るようにすすめてきた。
「すぐに依頼主の代理を呼んで参ります。五分程度お待ちいただけますか?」
「わかりました」
要人を通すこともある部屋なのだろう。ソファーは柔らかすぎず固すぎずほどよい弾力。壁一面にかかれた魔方陣が室温の調整を行っているせいで、マントを身に付けていると暑いくらいであった。
受付嬢を見送り、マントを脱ぐ。どうせここを出る時はまた着るのだ。畳んで膝の上に置くと、壁の魔方陣の観察を始めた。
リューティスは魔方陣の開発を趣味としている。故に魔方陣に関しての知識には自信があった。
この部屋の壁に描かれている魔方陣は温度調節魔方陣と呼ばれているものであり、開発者はメイリーと名乗る人物である。比較的新しい術式が組み込まれていることから、描かれたのは最近であろうと予想ができた。
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