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後始末におわれたリューティスが宿に帰ったのは、日付が変わって三時間以上が経過した真夜中の三時のことであった。
魔方陣札による転移でデルタと二人で宿に戻ると、彼の部屋から出てレイガンたちと泊まっている部屋に向かう。
窓からちらりと騒がしい外を窺うと、祭り騒ぎはまだまだおさまらず、むしろ心なしか騒がしさが増している気がした。
レイガンとジェフの魔力は部屋にある。リューティスが戻ってくることを想定してなのか別の理由からなのかはわからないが、二人とも寝ている様子ではない。
扉を叩き、レイガンから返答が返ってきてから開けた。
「お、リュース。お帰り」
「お帰りー」
「……ただいま」
いつもと変わらぬ二人のその笑顔に頬を緩める。
「髪の毛戻しちまったんだな」
リューティスの頭部をちらりと見たレイガンは残念そうだった。
「あれ、どうやってたんだ?」
寝台に腰を下ろし、羽織っていたマントを脱ぐ。
「魔法薬だよ」
ブーツを脱ぎ寝間着を取り出して着替え始めると、レイガンは目をそらした。親しき仲にも礼儀ありである。簡素な服に着替え終え一息吐くと、寝台に寝転んでうとうとしていたジェフが起き上がって大きく伸びをした。
「あー、眠い! 明かり消してもいい?」
ジェフの言葉に首肯すると、彼の魔法であった明かりが消され、室内は暗闇に包まれた。
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