二十九章 刹那の逢瀬

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  「……レイガンさんがいるから大丈夫だろうけどね」  彼はAランク冒険者である。冒険者歴が長く、リューティスよりも経験が豊富だ。彼ならば大抵のことは自力でどうにかしてしまえるはずだ。  しかし、貴族が関係してくるとなると、レイガンでもどうすることもできないことがある。レイガンは平民だ。貴族位を持つ者を相手にするには分が悪い。  だからこそ彼は観光を控えていたのだろう。 「それならどうして気にしているんですか?」 「今回の件は貴族が関わっているから、平民ではどうにもできないこともある」  レイガンは周囲を警戒している様子だった。ジェフは呑気な顔をしているが、レイガンの警戒には気がついているのだろう。時折彼の魔力が周囲に放たれ、辺りを探っているのが見受けられる。  貴族が近づいてくる前に逃げようということか。確かにそれが一番正しい対処法かもしれない。 「ゆっくり観光はできないと思うんだけど……」  ならばなぜ二人はこのような場所にいるのだろうか。 ふとレイガンがこちらに気がついた。ジェフを引っ張りながら近寄ってくる。 「ここにいたのか」 「……俺を探していたの?」  彼がここにいることに対しての疑問はすぐに解けた。しかし、リューティスを探していた理由がわからない。 「ギルドの方で呼び出しがあったぞ」 「緊急招集?」  レイガンはやや眉をひそめ、首を捻った。 「招集じゃねぇらしいが、なんでも治癒魔法師をかき集めてんだと。至急来てほしいらしい。詳しい話はリュースに直接するっていってた」 .
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