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コンコン
ドアを叩く音に、全員の視線が一ヶ所に集まった。
そしてその視線が集まった先には、和海さんが呆れ顔で立っていた。
「随分盛り上がっているようだが、はじめから説明してもらえるとありがたいな。」
「和海さん!」
応接間に入ってきた和海さんは松本さんの胸を拳で押す。
「お前らしくもない。」
「失礼いたしました。」
いつものようにニッコリ微笑みながら言う松本さんを、和海さんは目を細めて見ながら、ニヤッと笑った。
「またライバルが一人増えたか。」
「ライバル?」
松本さんはきょとんとして首を傾げる。
和海さんはそれ以上何も言わず、テーブルの上に腰かけてむすっと膨れている蘭之助に近付き、頭に拳骨を落とした。
ゴスンという鈍い音は、聞いてるこちらまで痛くなる。
蘭之助さんは声にならないうめき声を上げ、頭を押さえた。
「いってェ…………!!糞野郎、なにしやがる!!」
「お前の無礼のせいだ。ここは俺の屋敷だ。勝手なことするな。だいたい贔屓客相手にあんな態度とるなんて、お前もらしくないことしてるじゃないか。」
「うるせェ!気に食わねェもんは仕方ねェだろ!!ったく、いってェな畜生……頭の形が変わっちまう。カツラが被れなくなったらどうすんだ!」
「もう一発殴って凹ませてやる。」
「野蛮人!鬼畜!」
和海さんは爽やかに笑いながら、再び拳を握りこんだ。
それを見た蘭之助さんはテーブルから飛び下りると、僕に駆け寄りしなだれかかってきた。
「英サン、助けておくんなァ……。」
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