第2章

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ベッドに寝かされ、上着を脱がせてもらいながら、僕の頭のなかはずっとふわふわしていた。 もしかして、今は夢のなかにいるのかな 目が覚めたらなにもかも元通りになってるのかも 「英……俺が迂闊だった。すまない。」 頬を包む原和海の手の温かさに、僕は無理矢理現実に引き戻される。 そしてまた涙が滲んできた。 「英君、これを飲んでください……。少し気分が落ち着くはずです。」 松本さんがなにかカップに入ったものを僕に持たせてくれた。 よく分からないけれど、促されるままに飲む。 あったかくて、甘くて、優しい味……なんだろうこれ…… 僕はそのまま目を閉じた。 視界を遮断してしまえば、何も考えなくていい。 瞼の向こう側では原和海と松本さんがなにかを話していたが、僕の耳にはもうなにも届かなかった。 次に目覚めた時、僕は時間の感覚がなくなっていた。 外は夕焼けなのか朝焼けなのか分からない空模様で、辺りは薄暗い。 ゆっくり頭を横に向けると、ベッドに腰かけた原和海の大きな背中がこちらに向けられていた。 僕が体を動かした衣擦れの音で原和海は振り返り、僕を見て穏やかな声で言った。 「起きたか。」 そしてすぐに水をついだグラスを渡してくれる。 たしかに大泣きして水分を失ったせいか、僕の喉はカラカラだった。 原和海は僕に穏やかな表情を向けていたけど、目だけは険しくて、なんだか怒ってるみたいだ。 「ありがとうございます。」 水を飲み干してお礼を言うと、原和海は僕の頭を撫でながら、グラスをベッド脇のコンソールに置いた。 その時ちらっと時計が見えて、今が六時過ぎだと分かった。 たぶん空が焼ける色が優しいから、夕方なのだろう。 ずいぶん寝ていたようで、あんまり寝ていなかったみたいだ。 「落ち着いたか?」 原和海に問われ、僕は一瞬迷ったが頷いた。 「そうか。今話を聞くか?それとももう少し寝る?」 「……寝ます。」 「分かった。また夜に様子を見に来る。おやすみ。」 この人の言う「夜」は九時だったっけ あと三時間 もう一生目覚めなければいいのに
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