第2章

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「ま、せいぜい頑張って思い出すことだな。」 鼻で笑う原和海を睨んでいると、ますます楽しそうな顔になって、彼は僕にこんなことを言った。 「そうだ、物忘れに効くおまじないを教えてやろうか?」 「そんなものがあるんですか?」 「ああ。ちょっと目を閉じてみろ。」 僕は言われたまま目を閉じる。 チュッ ……ん? なに……今唇に何か柔らかいものが……? はっとして目を開けると、鼻先が触れそうなところににこにこした原和海がいた。 「……つかぬことを聞きますが、今何しました?」 「キス。」 やっぱりかああああ!!! 僕は慌てて口を袖でぬぐった。 あまりにごしごしと強く拭うものだから、唇が切れてピリッとした痛みを感じる。 「おいおい、その反応は傷付くなぁ。」 原和海は相変わらず楽しそうだ。 「傷付くのはこっちですよ!この変態!なに考えてるんですか?!」 「英が目を閉じた顔って可愛いなぁって。」 「ッば、ばかっ!貴方そっちの趣味はないって言ってたじゃないですか!」 「ない。俺は抱くなら女って決めてる。」 じゃあ今のはなんだ、今のは! 「どうした、そんな恨めしそうな顔して?ガキのはなちゃんには刺激が強かったか?もしかして初めてだったとか?」 図星だ……けど、こんな男にそんなこと知られたら絶対に馬鹿にされる! 「だ、だからその呼び方やめてください!そ、それに初めてなんかじゃないですし……!」 「なんだ、そうなの?じゃああの程度できゃんきゃん騒ぐこともないよな。」 「え、ええ。そうですね。いきなりで驚いただけですから。」 「ああ、なるほどなるほど。だってあんなキス、外国じゃ挨拶代わりだもんな?」 「え!」 本当に?! 「いやー、そうかそうか、初めてじゃないんだなぁ。」 原和海め、なにか企んでる顔してる……
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