第2章

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「でもなぁ、ちょっと嘘臭いんだよなぁ。」 切れ長な目が僕を探るように見てきた。 「そ、そんなわけないでしょう。」 少し声が震えてしまって、僕は嘘がばれないかとドキドキしてしまう。 原和海はぽんと手を叩くと、焦る僕に追い討ちをかけるようなことを言った。 「そうだ、お前から俺にしてみろよ。」 ……はい? 「言ってる意味が分からないんですが……。」 「たかがキスだろう?お前も慣れてるなら別に相手が誰であろうとできるだろうしさ。なんせ、“たかが” キスだもんな?」 挑発的な言われ方をされ、僕はかっとなり、反射的に言ってしまう。 「いいですよ!キスくらいしてやります!」 そして、言ってしまってから激しく後悔した。 なんでいいなんて言っちゃったんだ、僕は!! いいわけないだろう!! 完全に原和海の術中にはまってるじゃないか!! 「お~、男らしいところあるじゃないか。感心したよ。」 ニヤッと笑った原和海は、挑戦的な目で僕を見ていた。 ああ、これもう引けないやつだ……。 頭のなかが真っ白になり、呼吸が浅くなる。 どうしよう……どうやればいいんだろう…… 混乱していると、原和海が小馬鹿にした口調でからかってきた。 「どうしたはなちゃん。男の子だろ?しっかりしろよ。」 ああああああ! 物凄く、果てしなく腹が立つっっっ!! こうなったら覚悟を決めてやる! 頭で考えると心が折れそうになるんだから、勢いでしてしまえばいいんだ! 僕は原和海のシャツを掴んで引き寄せ、ほとんどやけくそになって唇を押し付けた。 よしっ これで終わりだ……! ほんの数秒の触れ合いだけど、キスには変わりない。 僕は急いで体を引く。 ……つもりだったが、原和海に手首を掴まれ、押し倒される。 「ちょっと!」 抵抗しようと開いた口は、原和海の唇で塞がれた。 「ーーッ!やめッ……!んっ……!」 逃げようとしても、僕よりずっと重い人に乗られた状態で僕ができることなんて、手足の先を動かす程度。 それが無駄な抵抗だというのは自分がよくわかった。 「ちょ……!ほんとに………ッふあ?!」 なに、今のあったかいぬるっとしたのは……?
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