第2章

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「ッ!ゃ……やだッ!原さんっ……!」 「こら。和海だろ?」 「あ、か、和海さん、もうやめてよ……!」 「やだね。」 ピシャリと言った和海さんに、僕は必死で言う。 「僕男ですよ?!」 「知ってるよ。いくら可愛い顔してたって、ついてるものついてるもんな?」 「ッさ、最低……なんでそういうこと……。」 「生意気言って大人を怒らせると、痛い目見るかもしれないぞ?」 和海さんの目が妖しく光る。 獲物を狙う猛禽類みたいな、ギラギラした目だ。 怖い いつものたちの悪い冗談なんかじゃない この人、本気なんだ 「ご、ごめんなさい!だから……もう……。」 「急にしおらしくしても駄目だ。」 「じゃあどうすれば……!」 「さあな?」 和海さんがそう言ってまた僕の耳元に顔を埋めようとしたとき、部屋のドアがノックされた。 助かった!! 松本さんだ! 「か、和海さん、きっと松本さんが和海さんを呼びにきたんですよ!」 「ッチ……どうぞ!」 って、僕の上からどかないの?! 「ちょ、ちょっと!あの!」 僕が和海さんを押し返そうとしているうちに、ドアが開いてしまった。 ベッドに寝る僕 その上に跨がって覆い被さる和海さん この状況を見れば、誰だって助けてくれるはず…… 「松本さんっ!」 「あ、英君、サンドイッチはどうでした?」 にこにこしながら松本さんに尋ねられ、僕は一瞬ぽかんとしてしまった。 この光景を目の前にして第一声がそれ?! もっと聞くべきことがあるじゃないか!! だいたいこの状況おかしいでしょう!! 「ふふふ、今日のサンドイッチはですね、隠し味にオリーブの油を塗ってみたんです。原さんも食べました?」 「ちょっとつまんだ。うまかったぞ。」 「あ、あの松本さん……助けてほしいんですけど……。」 「助ける?」 キョトンとされた…… ちょっと待ってくれ、僕がおかしいの? 松本さんはサンドイッチが乗っていた皿を取りに来ただけのようで、目当ての物を確保すると、にこにこしたまま部屋から出ていこうとした。 「松本さん!」
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