第2章

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和海さんは僕の手首を頭の上に持っていって片方の手で押さえつけ、もう片方の手を僕の体へと滑らせる。 布の上からでも分かる手の熱と、触れるか触れないかのもどかしい触られ方に、僕は思わず声が漏れそうになり、慌てて唇を噛んだ。 もうなにがなんだか分からない。 やめてほしいのに、やめてほしくないような…… 僕はどうしてほしいんだろう……? 「おいおい、そんな煽情的な顔するなよ。」 「え……?なんのこと……?」 そんな顔してなんか…… 和海さんはクスッと笑って、呟く。 「たちの悪いやつ。」 貴方だけには言われたくない そう言おうと思ったけど、上手く言葉が紡げなかった。 シャツのボタンが一つ一つ外されていく方にばかり意識が向いていたからだ。 僕と和海さんを隔てていた物理的な障壁が取り払われてしまい、心細くなる。 その心細さを紛らすみたいに、僕は名前を呼んだ。 「和海さん……。」 和海さんは一瞬手を止めて、僕の顔をじっと見てきた。 表情が読めない。 なんて形容すればいいのか分からない複雑な表情だったけれど、強いて言うなら当惑してるように見えた。 「本当に、たちが悪いな。」 そう言ってクスッと笑った和海さんは、僕の首筋に顔を近付けた。 まさか、そんなところにキスするの? 戸惑っているうちに、少し湿った柔らかな物が首筋を這う。 くすぐったくて、恥ずかしくて、顔を背けると、チリッと焦げるような痛みを感じた。 「な、なに、今の?」 顔を上げた和海さんに尋ねると、今度は僕の腕を引っ張りあげる。 急に引っ張り起こされたものだから、シャツが肩から滑り落ち、二の腕が露になってしまう。 和海さんはその二の腕に唇を寄せ、僕はまたあの小さな痛みを腕に覚えた。 顔を離した和海さんはその場所を指でなぞる。 なにをされたのだろうと思って腕を見下ろすと、白い肌に赤い痕がついていた。 「これ……?」 「印。」 「なんの……?」 和海さんは僕の頬に手を添えると、色っぽく笑った。 「俺のものだっていう印。」 「なに、それ……。」 「俺は自分のものに傷をつけられるのが心底嫌いなんだよ。」 「え?」 「例えお前の親だろうと、お前に傷をつけるやつはどんな手を使ってでも駆除する。これはその印だ。」 「ま、待って……?」 意味が分からない……理解力が追い付かない
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