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そもそも人類とは有史より、
何かプレゼントしてくれる存在を望んでいた。
森から離れて草原で生きる事を決意した、
四百万年前の猿人アウストラトピテクスから要求し始め、
狩猟採取出来ない氷河期に旧人ネアンデルタール人や、
新人クロマニヨン人の集合的意識が肥大化した頃に、
食料を授けた神々や天使が史上初のサンタクロースである。
しかし神々や天使は邪神や悪魔達との戦いに忙しく、
人類に中々恵みを授けられなくなったので、
西暦300年頃に手伝いさせていた聖ニコラウスを祖とし、
プレゼント専門に特化させた半神的存在として、
今のサンタクロースである僕達が誕生した。
僕の名前が『聖臣』なのもこれが元だと父は言ってた。
この日本においては当初天照大神が太陽の光と共に人々にプレゼントしていたが、
縄文時代に素戔嗚尊が皮を剥いだトナカイを投げ付けた隙に強奪し、
天照大神はショックで引きこもり天岩戸隠れが起こったので、
国津神の主で袋背負ってサンタらしい大国主命が弥生時代に二代目サンタとなったが、
人間より兎を優先し、
月で悲しみを餅にして付く兎を手伝い、
悲しみの餅をこねて正月に歳神に渡しつつ、
国譲りと共にサンタも引退。
奈良時代三代目サンタで見た目もサンタ寄りな猿田彦命は、
女の子は無視して男の子を天狗と共にさらって無理矢理勉強させたので、
妖怪化した真モンスターペアレントの抗議で退任。
四代目サンタとなった地蔵菩薩は、
五十六億七千万年後の弥勒菩薩と交代するまで地上勤務だけあり、
平安~安土桃山時代と長期間就任したが、
売れ残りの傘をくれた老夫婦のみプレゼントな、
限定的方針が問題視されて退任してしまった。
そして江戸時代オランダから出島ら経由で三田九郎翁として、
近代的サンタクロース概念が入り出し、
明治時代の文明開花と戦後の敗戦に伴う、
コカコーラの米帝資本主義的影響で、
高度経済成長と共に紅白のサンタ衣装が一般化したのだ。
人類史と同時に始まったサンタクロース史、
トナカイのソリより遥か神代の昔の原始サンタ。
八本足の馬に跨がり、
片目を隠した目深帽から白髪と髭を靡かせるオーディンはまさにそんな感じだった。
「マサオミ君、サンタ長のきみの噂はカラスのフギン(思考)とムニン(記憶)から聞いておるよ」
「一体僕に何の用ですか?」
「実は・・・・・
わしのお願いも聞いとくれ!」
「ええっ!?」
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