夏の日の、召喚

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 高校2年の夏休みも後半に差し掛かろうとしていたとある日の夜更けのことである。  俺は入浴を済ませ、着衣も疎らに窓を開けて夜風に当たりながら、先ほどコンビニで買ってきた漫画を床で寝そべりながら読んでいた。いわゆる衝動買いというやつだったが、決して自分の意志薄弱ぶりが招いた手痛い出費などではなく、あくまでその場の雰囲気に呑まれて"為す術がなかった"ということにしておく。  そんな折の出来事だった。  突如、俺を中心に直径2、3メートル程の円形の何かが眩い光を放ちながら展開されたのである。 もんどり打って目を凝らして見てみると、床一面に見たこともない幾何学文字がたくさん散りばめられていて、何が書かれているかは皆目見当がつかない。 その馴染みのない文字たちはどうやら規則的に配列されているようで、その様相からはどこか洗練されているような印象を受けた。  昔読んだ漫画やら小説でこんなのが出てきたような気がする。こういうのをなんて言うんだっけ。確か魔法陣とか錬成陣とかいってた気が……  え、何これ怖い!?  やがて、周囲に展開し続ける幾何学文字群は目をつんざく勢いで輝きを増し、程無くして俺は敢え無く意識を手放した 。
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