恐るべきひと

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  「拓海さんの言動 すべてがそうでしょ! 最初から! 今まで、ずっと!」 目の前の、 厚い胸板をドンと叩く。 当然そんなことで 力負けする彼ではなく、 あたしの軽い拳はズルズルと なめらかなシャツを滑り、 自分の膝の上に落ちた。 滑りながら感じた シャツの内側の体温は、 熱いくらいで。 黙っていなくなった彼の体温が、 ちくちく刺すのは胸の奥。 「……好きじゃない…… あんたなんて、 もう好きじゃない……!」 はらはらと、 縋るような涙がこぼれた。 呆れた。 あたしは、 こんなに情けない女だっただろうか。 .
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