第1幕 大晦日

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恐怖に怯える月子の右目に、 卓袱台の銀縁メガネが反射し、 「そうだったー」 「なんだー」と、 極度に感情を押し殺したような声であったが、 悪夢から解放されたかのように安堵した。 情けない話だが、 コンタクトレンズは超音波洗浄機の中で、 明日の闘いに備えていた。    月子はメガネに手を延ばした。 司会の嵐のメンバーが、 今回で紅白引退のサブちゃんの満面の笑顔が浮かび上がり、 白組の35回目の勝利を知った。    「めでたし、 めでたし」 「よかった! よかった!」と、   耳打ちするかのように囁いた。 紅組は物心がついた頃から生理的に嫌いだ。
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