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わたくしの、
すぐそばに。
「ようやく少し風が出てきたな。
でも、
桜の回りだけは避けて吹いてくれればいいのに」
何気ないふりをしながら、
柏木は周囲を見回していた。
もしかして……わたくしを探しているの?
かつて、
後宮で幾重にも立てられた几帳の陰に押し込められていたわたくしを、
それでもそれと察してくれたように。
声にならないささやきを、
輝くまなざしにこめて送ってくれたように。
明るい庭先からは、
薄暗い御簾の奥はほとんど見えないはずだ。
……ここよ。
わたくしは、
ここよ。
どうしても彼に教えたかった。
わたくしがここにいることを。
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