第1章

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 がむしゃらにわたくしを抱きしめ、 離さない柏木の若い情熱こそが、 愛情だと思えたのだ。 「あ、 あぁ……っ。 い、 悦い、 柏木……っ。 悦いの――!」  身体の奥底までつらぬきとおされ、 狂おしく突き上げられる。 蹂躙される身体は嬉しげに蜜をこぼし、 濡れそぼっていく。  そしてわたくしは、 生まれて初めて絶頂を知った。 果てもない歓びの高みを。  罪の意識がその歓びをさらに深く、 底知れないものにしていく。 いつか破滅が来るとわかっているから、 わたくしも柏木も、 今この瞬間の快楽に溺れ込んでいくのだ。 「好きだ……あなたが、 好きだ、 紗沙……! このまま――あなたにつながれたまま、 死んでしまいたい……!!」 「あっ、 あ……柏木……っ。 柏木、 わたくしも……。 ああ、 あ――ひあ……っ!!」  わたくしたちは夜が白々と明けるまで、 互いの身体を離そうとはしない。 一瞬の時間も惜しんで、 淫らに絡み合い続ける。 人間とはこんなにも快楽に貪欲になれるものなのかと、 我ながら驚くくらいに。
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