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激しい交わりの合間、
互いの肌を確かめるようにそっと手を這わせ、
寄り添いながら。
「ええ。
紫の上の具合が、
なかなか良くならないらしくて。
もうずっと、
向こうに行ったきりよ」
「そうか……」
柏木はわたくしを抱き寄せ、
少し掠れた声でささやいた。
「こうなると、
紫の上の病がもっと長引くよう、
祈りたくなるな」
わたくしは無言でうなずいた。
他人の不幸を願うなど、
わたくしはなんて怖ろしい女になってしまったのだろう。
紫の上の病が長引くのは、
もしかしたらわたくしのこの想いのせいかもしれない。
ふと、
そんな考えが頭をよぎった。
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