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涼やかな風が、
一斉に室内へ流れ込んできた。
そして。
柏木が、
わたくしを見た。
あの、
篝火のようにゆらめく瞳が、
まっすぐにわたくしを捉えていた。
――見つけた。
声なき声が、
わたくしの耳元でこだました。
――やっと見つけた。
こんなところに、
あなたはいたんだね。
――ずっと悪い鬼に閉じこめられていたの? 誰の目にも触れないよう、
こんな奥深くに。
ええ、
そうよ。
わたくしはうなずく。
――知らなかったでしょう。
わたくしが、
こんな近くにいたなんて。
――本当だ。
俺はいったい、
どこを探していたんだろう。
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