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そして柏木は、
その視線で、
わたくしを受け止めてくれる。
しっかりとわたくしを抱きしめてくれる。
世界中が真っ白になって、
消えていくような気がした。
その時。
鋭く、
咳払いが響いた。
夕霧中納言が、
まくれ上がってしまった御簾のそばに立ち、
しきりに咳払いして、
女房たちの注意を喚起している。
夕霧も、
室内の様子が見えていることに気づいてしまったのだ。
大声で怒鳴り、
返ってみなの注目を集めてしまうような不作法はせずに、
早くどうにかしなさい、
と、
無言でうながす。
堅物の能吏として名高い夕霧らしい、
礼儀と対面を重んじた、
生真面目なやり方。
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