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二 桜惑う
あの日。
むせ返りそうなくらいに満開の桜が咲き誇り、
よく晴れた空にまばゆい光があふれていた、
あの日。
わたくしたちは、
もう一度出逢った。
その日は、
昼過ぎあたりから何となく六条院全体が騒がしく、
落ち着きのない空気に包まれていた。
「ねえ、
小侍従。
どうしたのかしら。
なんだかおもてが騒がしいみたいだけど」
わたくしは行儀悪く立ち上がり、
御簾の外を眺めた。
風もぱったりと止んでしまった春の午後、
室内の空気は次第に蒸し暑くなっていた。
御簾を巻き上げ、
几帳を片づけても、
なかなか風が抜けていかない。
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