第1章

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 そのおふくろさまのところへ、 息子が暴れん坊の友達を連れて遊びに来たというわけらしい。 「ずいぶんにぎやかでございますわねえ。 ちょっと様子をのぞいてまいりましょうか」  小侍従は言った。  はしっこくて頭も口も回転の速い小侍従は、 この六条院でも早々と女房同士の横のつながりを築きつつある。  紫の上付きの女房や明石の君のところになどは、 まださすがにもぐり込めないものの、 敵を作らない性質の花散里の君の御殿や、 源氏の君の寵愛とは無縁の秋好中宮の御殿には、 いつの間にかするっと入り込めるようになっていた。 「どなたが遊びにいらしてるのか、 ちょっと見てまいりますわね」 「いいわよ、 小侍従。 わたくし、 興味ないわ」  実際、 小侍従を偵察に行かせる必要はなかった。
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