6人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも室内を几帳で囲ってしまわないのは、
やはり蒸し暑いのと、
そんなものを立ててしまっては、
庭の様子を眺めるのに邪魔だからだろう。
わたくしもそれを咎めなかった。
女房たちみたいに御簾のすぐそばまで寄って、
衣の端を外へ出し、
男たちの歓心を集めるような真似はできないものの、
いつも座っている薄縁(うすべり)を離れ、
少しずつ御簾のそばに寄って庭の様子を眺める。
御簾を降ろすと、
外からはほとんどこちらの様子は見えなくなる。
けれど内側からは、
外が透けて見えるのだ。
夕霧中納言を中心に、
頭の弁(とうのべん)、
兵衛の佐(ひょうえのすけ)など、
内裏でも指折りの若い公達たちが、
かけ声もすこやかに鞠を桜の空へ蹴り上げる。
最初のコメントを投稿しよう!