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若者たちは夢中で鞠を追う。
日頃は謹厳実直を絵に描いたような夕霧まで、
冠が歪むのにもかまわずに、
声をあげて走り回っていた。
そんな中で、
柏木の姿はひときわ目を惹いた。
彼は、
誰よりも高く鞠を蹴り上げる。
誰かが蹴りそこなってとんでもない方へ飛んでしまった鞠も、
素早く落下点へ走り、
もう一度庭の中央へと蹴り戻す。
その姿はわたくしの記憶にあるよりも少し痩せて、
目元のあたりに深い陰が落ちているように見えた。
けれど、
あの瞳は同じ。
初めて見た時と変わらない、
深く輝く篝火のような瞳。
わたくしは思わず立ち上がってしまった。
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