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明石女御の里邸は、
六条院春の御殿の西の対。
彼女は、
紫の上の養女となっているからだ。
女御の生みの母は冬の御殿に暮らす明石の君だが、
彼女は、
家系をたどれば大納言、
大臣にも行き着くとはいえ、
その身分は地方受領(ずりょう)の娘にすぎない。
母の身分が低いと宮中で軽んじられてしまうため、
明石女御は、
宮家の血をひく紫の上の養女として入内したのだ。
紫の上は母親として、
女御の出産のすべてを取り仕切らねばならない。
産屋となる西の対は浄めのために、
部屋のしつらいも女房たちの装束も、
すべて白一色に統一された。
廂の間には護摩壇が設けられ、
都でも指折りの高僧たちが安産祈願のために招かれる。
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