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「廟堂でも、
もはや夕霧さまのご意見に異を唱える方はいらっしゃらないそうですわ」
小侍従がまたも情報を聞き込んできた。
「夕霧さまのご意見は源氏の君のご意見、
ひいては主上のご意見も同じですもの。
反対しても無駄だって思われるのでしょうね。
それにまた夕霧さまが、
古今東西の有職故実、
法令や慣例に良く通じてらっしゃるそうで。
議論になったら、
やかまし屋の長老がたでさえ太刀打ちできないそうですわ」
「まあ……」
ちょっと意外だった。
夕霧とは直接口をきいたこともないけれど、
小侍従や柏木から聞かされた話では、
彼はいかにも坊ちゃん育ちのおっとりとした性格で、
表だって人と争うことを好まないように思えていたから。
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