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「お若いですけど、
内裏では人一倍苦労されていらしたからでしょうね。
なにせ、
六位の文章生から這い上がった方ですもの。
親の七光りでいきなり高位高官に着かれた方々とは、
肝の座り方が違いますんでしょ」
とにかく、
彼や源氏の君が六条院に居るあいだは、
わたくしはおとなしくしているしかない。
わたくしに仕える女房たちですら、
人手が足りないと、
東や西の対へ駆り出されることすらある。
源氏の君は時々、
思い出したようにわたくしの居る母屋へ顔を出す。
ほんのご機嫌伺いで、
一刻ととどまることはないのだが。
それでもいつも前触れもなく、
突然やって来るものだから、
こちらはいつ源氏の君が来るかと気を抜くことができない。
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