第1章

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 それでも今は、 女三の宮さま以外におすがりできる方がおりません。  女三の宮さまよりお返事がいただけないことは承知しております。 もしもお手紙をいただけたとしても、 今の状況ではそれは、 わたしどもの手に届く前に夕霧大将に見つかってしまい、 破棄されてしまうでしょうから。  けれど、 もしもいつか、 このことについて自由にお話になれる時が来ましたならば、 その時にはどうか、 わたしどもにもお教えください。 あの夜の、 すべての真実を。  お願い申し上げます。 このままでは柏木の殿が、 そして女二の宮さまがあまりにもおかわいそうです。
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