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柏木の死は、
六条院とは無関係。
彼の発病が、
源氏の君と結びつけられて考えられることはない。
わたくしは、
柏木の死を嘆くことすら許されなかった。
物の怪がついた、
との夕霧の一言が、
わたくしが何を言おうとも、
すべてでたらめにしてしまう。
誰もわたくしの言うことを信じようとしない。
わたくしのこの涙も、
単に物の怪が流させる意味のないものとして扱われ、
ともに嘆いてくれる者すらいないのだ。
柏木の死が公表されたのは、
それから一月あまりも経ってからのことだった。
六条院での試楽のあと、
流行り病に倒れた柏木は、
一条の屋敷で高熱に苦しんだのち、
親元に引き取ろうとした太政大臣の手も間に合わず、
手厚い看護の甲斐もなく息を引き取った、
と。
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