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五、
明け鴉、
鳴く
わたくしが正気を取り戻した時、
あたりはすっかり片づけられていた。
壊れた格子は元どおりに修理され、
鮮血に汚れていた床もきれいに清められている。
柏木が断末魔の苦しみにのたうち回ってしがみつき、
血まみれの手形が印されてしまった几帳は、
真新しいものに取り替えられていた。
わたくしの衣も単衣から袴から、
すべて新しいものに着替えさせられていた。
その袖にも寝具にも濃厚に香が焚きしめられている。
血の臭いをごまかすために。
あの惨劇の痕跡は、
何ひとつ残されていなかった。
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