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わたくしは顔をあげた。
もしかして、
そのせいだったの?
そう考えると、
すべてのことがつじつまがあってくるような気がする。
柏木が源氏の君を追いつめようとしていた、
切り札。
それが、
その冷泉さまにまつわる秘密だとしたら。
冷泉さまが突然退位されたのも、
それなら納得がいく。
東宮に譲位しなければ秘密を暴露すると、
柏木が脅したのかもしれない。
いったい、
どんな秘密なの。
柏木がそれを知ってしまったがために、
殺されたのだとしたら。
わたくしも、
それを知らなくてはならない。
「女三の宮さま。
お食事でございます」
中年の女房が女童を従えて、
食事を運んできた。
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