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次々にわたくしの前へ並べられる、
贅を尽くした料理。
けれどわたくしは、
箸もとらなかった。
「いりません。
食べたくないの。
下げてちょうだい」
「紗沙さま……」
そばに控える小侍従が、
心配そうにわたくしを見る。
けれど無理に食事を勧めようとはしない。
小侍従も知っている。
なぜ、
わたくしが食事を拒むか。
――都も場末の市まで行けば、
怪しげな祈祷師や薬師も大勢いる。
金次第で、
どれほど危険な呪符や薬でも、
用意してくれる連中が。
堕胎の薬だって、
簡単に手に入れられるのだ。
六条院で出されるものを、
うかつに口にするわけにはいかない。
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