第1章

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 わたくしのお腹に宿る柏木の子が無事に生まれるのを、 源氏の君はけして望まないから。  わたくしの懐妊は、 すでに六条院全体に知れ渡っていた。 誰から聞かされたのか、 お寺に籠もられたお父さまからも、 心をこめた祝いの品々が届けられた。  けれどめでたい雰囲気とはうらはらに、 本当にこの子の誕生を待ち望んでいる人間は、 六条院の中にはわたくしと小侍従以外、 誰もいない。  源氏の君は紫の上に、
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