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わたくしはそっと小侍従を招き寄せ、
小声でささやいた。
「ねえ小侍従。
お父さまのところへ行ってきてほしいの」
「え? 朱雀院さまのところへでございますか?」
「ええ。
聞いてきてほしいことがあるのよ」
そう、
お父さまならきっと知っているはず。
かつてささやかれたという、
冷泉さまについてのうわさを。
手紙で問い合わせるわけにはいかない。
お父さまからの手紙は、
源氏の君もすべて目を通す。
そしてどんな返事を書けば良いかまで、
わたくしに指示をする。
わたくしはあたりさわりのない時候の挨拶を文にしたため、
小侍従に持たせた。
小侍従は衣装をととのえると、
緊張を押し隠し、
六条院を出ていった。
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