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女房たちがひそひそとうわさする。
「衛門督さまが、
なにやらご不慮とか」
「あの試楽のあと、
急にお床につかれて。
たちの良くない流行り病らしくて、
一条のお屋敷では、
どなたのお見舞いもお断りされているそうですわ」
「北の御方、
あの落葉の宮さまがつききりでご看病なさっていますのね」
「お偉いお坊さまの加持祈祷も役に立たず、
たいそうなお苦しみだとか……」
まるで、
柏木がまだ生きているかのような話をささやき交わす。
柏木の死は、
公表されていないのだ。
いったいこれは、
どういうことなの。
「一条御息所さまのお屋敷だけでなく、
柏木さまのご実家の太政大臣家でも、
何人もの陰陽師や咒禁師(じゅごんし)を呼び集め、
回復祈願のご祈祷も昼夜を分かたず続けているそうですわ」
小侍従がそっとわたくしに告げた。
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