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変な映画が観たかった。 普通の大人だったら絶対に見ないような変な映画が観たかった。 失敗作のにおいがプンプンする予告編映像を見て「こんなの誰が見るんだよ」と思った翌日、私は和君に話しかけた。 「ねぇ、和君。『にゃんこ戦隊』って映画観に行こう?」 隣の席で出荷伝票の束と格闘していた和君の動きが止まった。 「今なんて?」 「すっごいつまらなそうな映画があるんだよ。観に行こう?」 「なぜよりによってつまらなそうな映画を選ぶ?」 「変な映画が観たいんだよ。和君なら一緒に行ってくれるかなぁと。」 「いいけど……。観た後で確実に後悔するよね。」 「それも承知で行きたいんだよ。」 「ふぅん……。鈴木さん、いつもながら変な人だよね。いいけどさ。」 「わーい。」 和君はまた伝票の束との格闘を再開し、私は製品の梱包に戻る。 仕事を通して気心を知り尽くしていた私達は、つまらない映画を共に観ることになった。 これが初デートだった。
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