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「弘子から文が届いていますよ。」
弘子とは淑子の次姉で、今上の帝に入内している。
敦子から文を受け取り広げる。
左大臣は表情を歪めた。
「文にはなんと?」
「女御様は病んでおられるようだ。」
敦子は左大臣の腕に手を添えて、文を覗きこんだ。
そこには、辛い、不安だと言った内容の和歌が詠まれていた。
彼方の娘も此方の娘も…
はぁ…とため息を漏らす。
「義成殿?」
「……。」
そういえば…と思い出す。弘子と淑子は仲が良い姉妹であった。長姉・教子は母も違い会ったのは恐らく一度二度。
同じく屋敷内に住む二人はよく笑い合っていた。あの頃の弘子には笑顔が絶えなかった。
ここで左大臣は思い付く。
此れは一挙両得だ。左大臣はほくそ笑んだ。
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