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次の日。
相変わらず進まないネームを前に、頭をひねっていた4時過ぎ。
ふと、家のインターホンが鳴った。
また押し売りだったら嫌だなと思いつつ、ドアをそろそろと開ける。
そこには、しんちゃんが立っていた。
「こんにちは、お姉さん」
「こんにちは……。哲太は?」
「哲太なら、急に委員会の集まりが入ったらしくて。
長くなりそうだったから、先にぼくだけ来ちゃいました。いいですか?」
「そりゃ構わないけど。どうぞ」
「ありがとうございます。お邪魔します」
昨日の弟の変な質問のせいで、思わずドギマギしてしまう。
そういえばこの前も、変な冗談、言われたっけ。
いやいや、しんちゃんが好きなのは、哲太なんだから。
そう言い聞かせて、丁寧な物腰で靴をそろえるしんちゃんに声をかけた。
「今日も外は暑そうだね。サイダーあるよ、飲む?」
「わ、嬉しいです。頂きます」
よしよし、いつも通りだ、私。
そう思って、台所に入る。
すぐにジャラジャラという音がして、続いてしんちゃんも台所に乗り込んできたことがわかった。
あれれ、哲太の部屋に行っててもいいのに。
そう思いながら、2つのマグにサイダーを注ぐ。
ペットボトルを冷蔵庫に入れると、マグのひとつをしんちゃんに手渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。あの」そう言って、しんちゃんは、わたしの目をみつめた。思わず鼓動がひとつ、大きくなる。
「今、お話、いいですか」
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