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しかし、ハゲている。
何度、鏡を見てもハゲている。
しっかりくっきりハゲている。
「まぁまぁ、アイ。円形脱毛症ってやつでしょ?
大丈夫よ。そのうち治るよ」
他人事だと思って、のんきな発言をかますと、
「ぶぷ~、ウケる~」
姉ちゃんは抑えきれないらしく、大笑いしながら風呂を出て行った。
鏡を見る。
顎を引いて頭頂部を映す。
…ハゲ。
にこ。
微笑んでみる。
…ハゲ。
ウケねーよっ
くそ、一体いつからハゲてたんだ?
髪を洗った時、なんかここだけへこんでるような気がしたんだ。
でも、普段は見えないし、自分じゃ全然気づかなかった。
大好きなサッカーやって飛び跳ねてても、誰も何にも言わなかった。
…ヘディングし過ぎ?
いや。頭頂部じゃねぇ。
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