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彼は係りの先生とアイコンタクトを取り、鍵盤の上に白くて細い指をソッ、と落とす。
落ち着いた雰囲気の旋律が流れ出し、校長先生が生徒の名前を呼びだす。授与式が始まった。
けど、俺はそんなのどうでもよかった。
切なげなメロディとは裏腹に、俺の心は徐々に高まる。
すごい、すごい、すごい。
正直に言うと、彼のことをどこかバカにしている自分がいた。
いっつも何を考えているのかわからないし…
体育も全然やる気なさそうだし…
無表情で、無反応で、会話も続かないし…
こんなの ひとりぼっちになっても当然だ、なんて。
それが今日、彼に対しての感情が180°一気に変わった。
小林君って、こんなに生き生きとしていたっけ。
──…こんなにも彼は、美しかったっけ。
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