第1章

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卒業式が終わった後、小林君の席の周りはドッと人で溢れていた。 ………ていうか、全員女の子なんですけど…。 俺は友達と一緒に帰りの支度をし始めた。でも、やっぱり小林君が気になりチラチラと盗み見てしまう。 「小林君ってピアノ弾けるんだね!」 「すっごいかっこよかったー!私、三年生より小林君のことずっと見てたよ!」 「わたしもー!すごかったもんねー!」 「きゃーっ、何言っちゃってるの!」 「………」 きゃーきゃー騒ぎまくる女の子たちに、少し圧倒されている小林君は、羨ましいけれど、なんだか少しいたたまれない。 クラスの男子が小林君を羨ましそうに見ているが、本人は女の子の壁で何も見えていないと思う。 「あの…僕もう帰るんで……」 「えーっ、もう少しお話ししようよぉ~」 「私もピアノ習ってるんだよ~!」 「あっ!わたしもー!でも小林君よりは全然…」 「……」 …完全にマークされたな。 これはしばらく解放されないだろう。 …………ん? 彼をじっと見ていると、どこか遠くを気にしているように見えた。 目線の先をたどると、教室の黒板の上の壁にかけてある時計。 …もしかして、ピアノのレッスン…とか?
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