第1章

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「あっ、そ、そうなんだ…」 「でも澤口君は他の人より覚えていたよ!いつもキラキラ笑ってるの見てたから………あっ」 食い気味にそう言い放った小林君は、妙なことを口走ってしまった、と居心地悪そうに口を紡いで俯いた。 「え、こば、小林君、俺のこと…見ててくれたの…?」 「…………」 「小林君…?」 小林君は俯いたまま黙り続ける。 え、ど、どうしよう。 俺別に悪くないよね?あれ?これ追求するべきじゃなかった!? 「あの!!!」 「うわっ!」 彼のつむじをじーっと見ていると、急に大声を出し顔を上げた。 「な、な、な、なに!?」 「僕……小さい頃からピアノが大好きで…あの……、転校する前の学校で、ちょっと問題起こしちゃったんだ。」 「問題?」 「そう…。クラスの女の子が、音楽の授業の後、ピアノを弾いてたんだ。そんなに上手くなかったんだけど、まだ3年生だったから周りの子もすごーいってもてはやしてさ」 「うん」 「僕も見てたんだけど、弾き終わった時、その子、僕に向かって『すごいでしょ。小林君なんかにこんなことできる?』って言ってきたんだ。後から聞いたらその子、僕のこと好きだったみたいで、ちょっと自慢したかったらしいんだけど」
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