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「あっ、そ、そうなんだ…」
「でも澤口君は他の人より覚えていたよ!いつもキラキラ笑ってるの見てたから………あっ」
食い気味にそう言い放った小林君は、妙なことを口走ってしまった、と居心地悪そうに口を紡いで俯いた。
「え、こば、小林君、俺のこと…見ててくれたの…?」
「…………」
「小林君…?」
小林君は俯いたまま黙り続ける。
え、ど、どうしよう。
俺別に悪くないよね?あれ?これ追求するべきじゃなかった!?
「あの!!!」
「うわっ!」
彼のつむじをじーっと見ていると、急に大声を出し顔を上げた。
「な、な、な、なに!?」
「僕……小さい頃からピアノが大好きで…あの……、転校する前の学校で、ちょっと問題起こしちゃったんだ。」
「問題?」
「そう…。クラスの女の子が、音楽の授業の後、ピアノを弾いてたんだ。そんなに上手くなかったんだけど、まだ3年生だったから周りの子もすごーいってもてはやしてさ」
「うん」
「僕も見てたんだけど、弾き終わった時、その子、僕に向かって『すごいでしょ。小林君なんかにこんなことできる?』って言ってきたんだ。後から聞いたらその子、僕のこと好きだったみたいで、ちょっと自慢したかったらしいんだけど」
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