2129人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「乗って」
拒絶も抵抗もしていないのに、わざわざ助手席のドアまで開け、背中に手を回してエスコート。
私にそこに乗るよう、促す。
「別に逃げやしないけど」
ドアを静かに閉めようとする彼に向かって、ボソッと呟いた。
「そうだね。もう寄るところないもんね」
それに気がついた彼はそう答え、ニコッと笑う。
「……そうね」
どうも嫌味に聞こえるのは
「部長もさっき帰ったしね」
「……」
私の、気のせいだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!