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「悪かったな。今日、忘年会だったのに」
軋む音が止み、静かになったベッドの上。
どこかスッキリした顔の部長は、寄り添って寝転ぶ私の頭を撫でながら優しい言葉をかける。
「……忘年会?」
たまに与えてくれる甘い時間に浸る私は、仰向けで休む部長の胸に頭を乗せ、初耳の言葉を繰り返した。
「週明けだったか?佐藤が言ってたろ。なかなか予約が取れない店に奇跡的に空きがあったから、急だけどこの日にしたって」
「……」
「俺と雛森は森本院長と約束があるから無理だぞ。って言ったんだけど、もう予約したからって……なんだ。聞いてなかったのか?」
髪を撫でる手を止めた部長。頭だけを起き上がらせ、黙った私の後頭部を見下ろす。
「佐藤くん、面倒なことは省く人ですから。部長から聞いてそれで済ませたんでしょう」
どっちみち、行く気はありませんでしたし。
そう付け足すと、部長の胸に頬をすり寄せ、優しく響く心臓の音を聞いた。
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