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「…なるほど、不安で、ここでうずくまっていたんですね」
「…はい。」
…少しだけ悩んでから、続きを告げる。
「…あと、このぬいぐるみを出した後から、涙が止まらなくて…」
気づいたら止まっていたけど、また口に出して言ったことで涙がにじんできた。
「…それは辛かったですね。」
和杷さんは私の頭を優しく撫でてくれた。
「きっと、生前大切なものだったんじゃないですか?
記憶はなくても、曖昧な懐かしさで涙が止まらなくなっちゃったんだと思います」
私は手で目をこすりながら頷いた。
少しだけ心が軽くなる。
「…ありがとうございました」
私はお礼を言い、頭を下げる。
するとそこに、何かが現れた。
黒い、姿がはっきり見えない…
「…フラグメントです!ローナさん、下がってください!」
和杷さんが咄嗟に私の前に出てきた。
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