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私は、とても困っていた。
和杷さんに会って、別れて、…そして、食べるものを探していた。
頼るものも住むところもない私は、自分でどうにかして生きていかなければならない。
真上を見上げる。
木には、フリフリの服を着た女の子の人形が引っかかっていた。
木の幹に手を置いてみる。
ツルツルとしていて、掴まるところもなくて、とても登れそうにない。
食べるもの…木の実とかはないだろうかと探し回っていたら、
大きな鳥が背後から私のことを突き飛ばした。
勢いに負けて転ぶと、その鳥は人形を足に引っ掛けたまま飛んで行ってしまった。
必死で追いかけて、やっと追いついたと思ったら、あんなに高い木の枝に人形を引っ掛けていった。
……今日も、クマさんにしておけばよかったかな。
あんなドレスにしたから、引っ掛かりやすくなっちゃったのかな。
……どうしよう。
私は自分の手を見つめた。
このアビリティは…扱い方がまだわからない。
一度消してから、また召喚できたらよかったのに。
人形を消す方法がわからなかった。
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